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〈実務に役立つ〉かぶり不足の解決法!現場での効果的な補修方法を分かりやすく解説!

現場での躯体工事検査時に最も指摘されるのが「かぶり厚さ不足」でしょう。

かぶり厚さは、仕様書通りの標準的な施工を行っても、必ずしも規定値を確保できるとは限りません。

それにも関わらず、法律にも規定されるほど、役割としては重要です。

また、場合によっては、コンクリート打設完了後に発覚するケースもあり、対処が困難なことも多いです。

今回は、かぶり厚さについて、適切な補修材料・補修方法について、わかりやすく解説します

かぶり厚さ不足は現場で必ずと言っていいほど起こります。
この記事を読めば、適切な対処方法を学ぶことができます。

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目次

かぶり不足があったらどうするべきか?

かぶり厚さが不足することがわかったら、どうするべきかについてです。

まず、前提として、今回は、コンクリート打設が完了してしまった場合についてのお話です。

その前に気が付いた場合は、適切に配筋・型枠を修正し、かぶり厚さ不足が起きないように打設をしましょう。

さて、最初に結論ですが、かぶり厚さの不足が生じた場合は

「防火・耐久性に問題のない補修材を用いて、適切な方法で補修しましょう」

ということになります。

当たり前すぎて、

「耐火・耐久性に問題ない補修材」ってなに?

「適切な方法」ってなに?

となってしまうかと思いますが、順番に解説します。

それを学び、むやみに、壊してやり直しなどは、行わないようにしましょう

そもそも「かぶり」は何の為ある?

適切な対処方法を学ぶうえで、まず、「かぶり」とはそもそも何のためにあるかを知っておきましょう。

「かぶり」が担う主な役割は、

「耐久性」と「耐火性」です。

鉄筋コンクリート造建物は、鉄筋とコンクリートにより構成されています。

鉄筋コンクリート造が長い年月を経て、壊れていく過程は、

・コンクリートの中性化により、鉄筋の酸化を防ぐアルカリ成分が減っていき、鉄筋を守るものがなくなる

・鉄筋が酸化し、錆びていくことで、錆び部分が膨張し、周囲のコンクリートがはがれる(爆裂)

・さらに鉄筋を守ってくれるものがなくなり、更に腐食が進む

といった感じです。

コンクリートの中性化は、周辺の環境や表面の仕上げ状況により速度は変わりますが、必ず起きる事象です

しかし、中性化は、コンクリートの表面側から進行するので、

コンクリートの表面から鉄筋までの

かぶりが十分に確保されていれば、

中性化が鉄筋の位置に達するまでに多くの時間がかかることになります。

つまり、耐久性が高いということになるわけです。

次に、耐火性についてです。

鉄筋は、鉄でできていますので、温度が高くなると、柔らかく・伸びやすくなり、

平温時とは違った物性となってしまうのはイメージしやすいかと思います。

鉄筋コンクリート造では、火災が起きた際でも、

かぶり厚さが十分に確保されていれば、

鉄筋への熱による影響を遅れさせることができます。

この2つが、鉄筋コンクリート造の「かぶり」の大切な役割というわけです。

かぶり不足補修材の正解は?

かぶりの役割がわかったところで、具体的な補修方法について解説します。

かぶり厚さの補修については、法的に規定されたものが2つあります。

国土交通省告示第1372号と、国土交通告示第1399号です。

告示1372号は、補充材料に関する規定です。

そこには、かぶり厚さ補修に用いる材料としては、

ポリマーセメントモルタルもしくは、エポキシ樹脂モルタルと明記されています。

また、その材料性能として、曲げ強度・圧縮強度・接着強さ・接着耐久性について具体的な数値が示されています。

・曲げ強度 ≧ 6N/mm2

・圧縮強度 ≧ 20N/mm2

・接着強さ ≧ 1N/mm2

・接着耐久性 ≧ 1N/mm2

もう一方の、告示1399は、防火に関する規定です。

ここでは、補修された部材全体が耐火構造として性能を満たすことを求めています。

また、告示1372号で定められた、ポリマーセメントモルタルやエポキシ樹脂モルタルであっても、

それらが防火上支障がないものであることに限ると定めています

しかし、どのような条件を満たせば、防火上支障がないとできるのかは詳しく規定されていません

この規定により、エポキシ樹脂モルタルは不燃材料でないため、断面補修には不適切ということになります。

つまり、かぶり不足の補修材としての正解は

「ポリマーセメントモルタル一択」です。

ポリマーセメントモルタルの防火性能を確かめるために、

市販のポリマーセメントモルタル製品を使った耐火実験が行われています。

<鉄筋コンクリート造建築物のかぶり厚さ確保に関する研究>

https://www.kenken.go.jp/japanese/contents/publications/report/147/index.html

その結果では、多くの製品でポリマーセメントモルタルの爆裂が発生しています。

つまり、正しい製品でなければ、防火性能を有したポリマーセメントモルタルと言えないということです。

上記の研究を基にした有効な材料の具体例をあげます。

・EPC耐火モルタル(株式会社コンステック)

https://www.constec.co.jp/technology/709

こちらの製品はHP上に下記の表なども記載されており、良心的です。

その他にも、不燃材料の大臣認定を取得している製品があります。

使用の際には、この実験の様な所まで確認しているかは、メーカーさんへヒアリングしてみましょう。

かぶり不足補修の具体的な方法

かぶり不足の補修方法については、先ほどの耐火実験を行っていた研究の一環で具体例が示されています。

今では、「建築監理指針」でも引用されているので、標準的な工法となっています。

下に、剥落防止措置を講じた吹付工法の図を示します。

工法については、手順も含めて詳細に記載されているので、こちらを確認ください。

https://www.kenken.go.jp/japanese/contents/publications/report/147/3.pdf

まとめ

かぶり不足が生じた場合には、

耐火性能について、実験等で確認されたエビデンスのあるポリマーセメントモルタルを用いて

監理指針等に示された適切な方法で補修する。

むやみに、壊してやり直すべきでないし、

エビデンスのない材料による補修はしない。

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