耐震設計における二次設計の目的は、建物が立っている間に一度遭遇するかも知れない程度の大地震に対して安全であるかを確認することです。
二次設計は3つのルートに分かれていて、建物規模等によって、設計のルートが変わってきます。検討の内容は細かくは構造種別ごとに異なりますが、ここでは大きな枠組みを理解できるようにしたいと思います。下に耐震計算の流れを示します。
まず、一次設計が終わると、計画する建物の規模等により耐震設計のルートを選択します。規模の区分けは、構造種別ごとに異なるので、ここでは割愛します。
ルート1:比較的小さな規模の建築物が選択できる計算ルートです。耐震に対する基本的な考え方は、建築物に十分な強度を持たせることで大地震に対する安全性を確保する点です。裏を返すと、靭性には期待しない設計法となります。具体的な例としては、RC造の場合は一定以上の壁量や柱量の確保などが、規定として設けられて、それをクリアするように設計することになります。
ルート2:ルート1が想定する建物規模よりは大きいが、高さが31m以下の建築物が対象になります。耐震に対する基本的な考え方は、高さ方向の剛性変化や偏心を小さくし、かつ、比較的簡便な考え方によって、一定以上の強度、剛性及び靭性を確保することで大地震に対する安全性を確保します。具体的には、
各階の層間変形角が1/200以内であること
各階の剛性率が0.6以上であること
各階の偏心率が0.15以下であること
を確認します。
その後、各構造種別ごとに定めれた規定をクリアするように設計を行います。上記の数値は基本的なものなので、試験に臨むまでには絶対に理解・記憶しておきたいところです。
ルート3:ルート1,2の対象外となる高さ31m超の建築物に適用されます。耐震設計に対する基本的な考え方は、保有水平耐力計算を行う事になります。保有水平耐力計算については、別途解説したいと思いますが、大まかには建物の靭性性能を評価して、地震入力エネルギーよりも、建物が吸収できるエネルギーを大きくすることを目指す設計法です。
建物の構造設計は、はり間、けた行(X・Y)の2方向について計算します。(斜め方向についても検討することもありますが、最低2方向は行われます。)その時、各方向で異なった耐震計算ルートを選択することができます。例えば、はり間方向は壁が沢山あるからルート1、けた行方向は壁が余り入れられないからルート3のように設計することができます。一方、原則として、階ごとには異なるルートを適用することはできません。
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