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未来の建築の寿命の考え方も変わってくる?高層木造ビルのトレンドと建物寿命について学ぼう!

高層木造ビルという建築技術の進化は、建築物の寿命・耐用年数に新たな展望を開いています。

最近は、環境意識の高まりを背景に、耐震性と環境対応の両面でCLT造の高層木造ビルが注目を集めています

これらのビルは、建築物の寿命や耐用年数の考え方に新たなフェーズをもたらす可能性を秘めています。

今回は、高層木造ビルを通して、建築物の寿命について改めて考察してみましょう

本記事では、これらの技術革新が建築物の「寿命」に与える影響について考察します。

今回は建物の「寿命」がどう決まるかを考えてみましょう

目次

高層木造ビルの台頭

近年の日本では、エンジニアリングウッドやCLT(直交集成板)などの進歩した木材を使用した高層木造ビルが増えています。

これらのビルは、従来の木造ビルのイメージを覆し、地震や火災に強い耐久性を持っています。

NHKでも特集が組まれるなど、一般的な市民権を得始めているといえるでしょう。

https://www.nhk.or.jp/shuhttps://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/kidukai/attach/pdf/wckyougikai-56.pdftoken/wr/20211220a.html

また、政府は2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする目標を掲げており、その一環として建築物への木材利用を推進しています。

この動きは、高層木造ビルの普及をより加速させていくことは明らかです。

林野庁では、これらのビルの事例集をまとめた資料を公表してくれています。

https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/kidukai/attach/pdf/wckyougikai-56.pdf

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建築物の寿命とは

高層木造ビルの登場は、建築物の寿命の考え方に新たな次元をもたらす可能性を秘めています。

では、まず、建築物の「寿命」について一般的な考え方を整理しましょう。

建築物と「寿命」と「耐用年数」について

建築物の寿命は単に「長く使えるかどうか」という問題だけではありません。

建築物の場合は「耐用年数」という考え方ががあります。

一般的に「寿命」と「耐用年数」は同じ意味で考えられがちですが、

「寿命」とは、竣工してから建物が取り壊された時点まで、つまり、建物が存在した期間です。

一方、「耐用年数」とは、税法上あるいは科学的根拠に基づて性能が確保される年数です。

耐用年数が過ぎても、すぐに取り壊されることにはなりにくいので、多くの場合、建物の寿命は耐用年数よりも長くなるわけです。

建築物を長期的に有効活用するためには、耐用年数をいかに延ばすかというのが重要になります。

一般的には、下の4つの耐用年数について考慮する必要があります。

〇法定耐用年数

固定資産の減価償却費産出するために税法で定めれらた年数

〇物理的耐用年数

建築物の躯体や構成材が物理的に劣化し、要求性能を下回る年数

〇社会的耐用年数

使用目的の変更や、社会の技術発展・社会的要求の向上による陳腐化に耐えられる年数

〇経済的耐用年数

継続使用するための補修・修繕費その他の費用が改築費用を上回る年数

高層木造ビルの耐用年数について

高層木造ビルが耐用年数新たな展望を示唆していると考えている理由について、それぞれの耐用年数についてみていきましょう。

〇法的耐用年数:

事業用住宅の場合、木造の法的耐用年数は22年です。鉄筋コンクリート造が47年であるのに対して、非常に短いです。

これは、節税効果という点で非常に優位です

例えば、同じ建築費である場合、利益に対して比率で発生する税金に対して、減価償却期間が短いので、単年での減価償却費用が多くなる(つまり、利益が小さくなる)ことで、税金を少なく抑えることができることになります。

〇物理的耐用年数:

高層木造ビルに使われるCLT工法は適切な施工・メンテナンスを行えば100年使用可能ともいわれています

鉄筋コンクリート造や鉄骨造も、同じことが言えますが、これまでの木造はこの点がどうしても弱かったので、その点を大きく克服しています。

〇社会的耐用年数:

上記にも書いた通り、世の中は脱炭素社会に向けて、木造建築を推進しています。

鉄筋コンクリート造や鉄骨造がなくなることはないでしょうが、製造過程でのCO2排出量などを考えると社会の要求は木造建築へと向いており、このメガトレンドは長く続くことが明らかです。

〇経済的耐用年数:

物理的耐用年数で述べたように、これまでの木造建築と比較して耐久性が大幅に向上しているため、その要求性能確保のための、補修・修繕費はこれまでの木造建築よりも大幅に小さくできます。

比較的仕上げも少なくできることを考えると、他構造と比較しても、改修費は低くできる可能性もあります。

このように考えると、現在の高層木造ビルの耐用年数は、これまでの木造だけでなく、他構造と比較しても長くなってくる可能性もあり得ます。

建物を長く有効活用するという視点でも、今後高層木造ビルの技術革新からは目が離せません。

まとめ

高層木造ビルの台頭:

  • 政府の2050年までに温室効果ガス排出をゼロにする目標という社会背景的背景から、日本ではエンジニアリングウッドやCLT(直交集成板)を使用した高層木造ビルが増加している。
  • これらのビルは従来の木造ビルのイメージを覆し、地震や火災に強い耐久性を持っています。

建築物の寿命と耐用年数:

  • 建築物の寿命は、建物が存在した期間を指し、耐用年数は性能が確保される年数を意味する。
  • 耐用年数には、法定耐用年数、物理的耐用年数、社会的耐用年数、経済的耐用年数の4つの側面がある。

高層木造ビルの耐用年数:

  • 法的耐用年数:木造は22年と短く、節税効果がある
  • 物理的耐用年数:CLT工法は適切な施工・メンテナンスで100年使用可能な可能性がある。
  • 社会的耐用年数:脱炭素社会への移行に伴い、木造建築が推進されており、今後の耐用年数は長い。
  • 経済的耐用年数:耐久性の向上により、補修・修繕費が従来の木造建築よりも低く抑えられる可能性がある。
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