この記事を読めば、建設機械施工の自動化・自立化の現状や、今後の展望を知ることができます。
世はまさに大DX時代の様相ですが、建設分野は遅れがちとよく言われています。
人口減少や高齢化の影響が大きく、担い手が少なくなっている建設業界こそ、
テクノロジーを活用して、生産性向上をしていきたいですよね。
今回は、建設機械施工の自動化・自立化について、国内の現状についてまとめました。
国内民間企業の動向
コンソーシアム
2023年6月21日に大成建設株式会社が参加表明を行い話題になっている建設RXコンソーシアム。
2021年9月から16社のゼネコンにより発足しました。
設立の趣旨は、施工ロボットやIoTを活用した施工ツールの共同研究開発です。
これまでは、各社個別に行っていましたが、開発コストが莫大なことや、ツールを使う側の協力会社がゼネコンごとに違う仕様のものを使うのは合理的ではないという理由で共同開発機構が発足しました。
今回、大成建設が参加することになり、国内のスーパーゼネコン5社が全てそろいました。
会員数も当初の16社から213社(2023年7月現在)と大幅に増加しています。
活動は、下記の分科会などにより、行われている模様。
(出展:建設機械コンソーシアムHPより)
「墨出しロボット」とか結構マニアックなものもあるようです。(絶対必要な作業だからあると便利ですよね。)
2023年7月20日には、建設RXコンソーシアム分科会でスタートした技術開発として初の成果となる
「防音カバー付き電動ハンドトロウェル」の開発について、竹中工務店と鹿島建設の連名で発表がありました。
ハンドトロウェルとは、床スラブコンクリートの不陸調整・ムラ取り作業に使う機械です。
これまでは、ガソリンエンジン駆動が主流で閉塞空間使用時の喚起や、エンジン駆動騒音が課題だったようです。
そこに、高出力モーターを使用したバッテリー交換が容易なパワーユニットを搭載、防音カバーを付けて騒音を90dB⇒60dBへ低減するなどにより、課題解決しています。
こちらも必ず必要な作業に関する技術であり、とても有用に感じますね。
一方で、素人が考える、建設機械が勝手に動いて、どんどん建物ができていくといったような内容ではないみたいです。
>成瀬ダム堤体打設工事
私たちがイメージする建設機械の自動化・自立化に近いと思われるのが、
鹿島・前田・竹中土木JVで施工中の成瀬ダム堤体打設工事に用いられている「A4CSEL」です。
(クワッドアクセル:Automated / Autonomous / Advanced / Accelerated Construction system for Safety , Efficiency , and Liability)
こちらは、管制室から複数の建設機械に作業指示を出し、
自動化された建設機械が無人で自立・自動運転して作業をしています。
最盛期には5機種20数台の自動化建設機械が連携して作業するそうです。
これはかっこいい!!
(出展:鹿島建設HP)
国内行政機関の動向
>建設機械施工の自動化・自立化協議会
国土交通省は2022年3月、飛躍的な生産性向上と働き方改革の実現を目的に、
関係する業界、行政機関及び有識者からなる「建設機械施工の自動化・自律化協議会」を設置しました。
協議会では、主に建設機械施工の自動化・自立化に関する安全性について検討されています。
確かに、突発的な通信環境の乱れ等、不足の事態を色々と想定したガイドラインが必要だと思わる為、
こういった動きを国土交通省が主導で行ってもらうのは良いことですね。
現在は、現場適用に向けての課題検証の為、実地での検証を予定しているようです。
2023年7月7日~2023年8月9日までの間、現場検証に協力・参加してもらえる団体を募集しているようです。
具体的に動くフェーズにあるようなので、その後の経過も随時ウォッチしていきたいと思います。
>宇宙無人建設革新技術開発推進事業
若干、他と毛色が異なりますが、
国土交通省は2023年4月に内閣府が主導する「宇宙開発利用加速化プログラム(スターダストプログム)」の一環として、
「宇宙無人建設革新技術開発推進事業」の技術研究開発実施対象を発表しています。
技術研究開発の実施対象は12件あり、そのうち8件が無人建設に関わる技術です。
(出展:国土交通省HP)
計画では、2035年以降には常時、月面での有人を目指すとのこと。
最初の月面基地建設には、無人による建設が必須なので、
この点からも建設機械施工の自動化・自立化は急速に進みそうな予感です。
まとめ
◆国内民間企業の動向
民間企業同士の連携を強めて、様々な建設機器の自動化・自立化を推進中。
限られた地域では、既に大型建設機械の自動運転・自立運転を開始している。
◆国内行政機関の動向
建設機械の自動化・自立化の実用化に向けて、安全に関するガイドラインを作成中。
政府施策の宇宙開発への対応もあり、建設機械の自動化・自立化の実現が急激に進む予感。
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