この記事を読めば、液状化ハザードマップを正しく読んで、土地や建物の安全性や資産価値を正しく判断することが出来る様になります。
(アイキャッチはAI画像です。)
土地を買いたい、建物を建てたい、自分の住んでいるところが安全か知りたい。
色地震国日本に住む私たちが気になるのは、
その土地が液状化する可能性があるかどうかです。
その際に、使用されるのが液状化ハザードマップです。
今回は、液状化ハザードマップの作られ方を一緒に研究・理解し、
液状化ハザードマップを正しく読めるようになりましょう。
液状化ハザードマップで困ること
液状化ハザードマップとは、都道府県や市町村が、その土地の液状化の可能性について判定し、(多くの場合3段階)
地図に色塗りをすることで表現されたものです。
土地購入や建物設計際に利用しますが、
特に、地盤調査を行う前の、計画の初期段階で使用されることが多いでしょう。
その液状化ハザードマップで自分の土地を液状化の可能性を見るときに起きる困りごとのひとつが、
下の図のように「液状化の可能性が低い地域」と「液状化の可能性が高い地域」が隣接されている時です。
微妙な判断を求められ、
液状化するの?しないの?どっちだよ!!
となりますよね。。
(引用:東京の液状化予測図 令和3年度改訂版)
液状化ハザードマップの作られ方
さて、上記の疑問を解決するために、液状化ハザードマップの作られ方を理解しましょう。
まず、前提として、液状化ハザードマップは都道府県や市町村ごとに作成されますが、
それぞれにちょっとずつ作成の仕方が異なります。
それぞれの作成の仕方は、各液状化ハザードマップHP等の冒頭に記載されいるので、その記載をよく読みましょう。
説教くさくて恐縮ですが、データを活用される際には、そのデータはどのように集められたり、作られているのかをチェックする癖をつけましょう
今回は、東京都の液状化ハザードマップを例に解説します。(因みに、令和3年に改訂されています)
下が、東京都の液状化ハザードマップの冒頭のページです。
(引用:東京都建設局HP)
上の青枠部分に、利用上の注意点が記載されおり、
- 液状化の予測図の位置づけ
- 液状化判定について
- 著作権について
等について、記載されています。
液状化ハザードマップの作られ方の大まかな内容は、こちらにも記載されています。
より詳しい内容は左下の、「液状化予測図作成の根拠」のページに記載されています。
そこには、下記の目次の内容で東京都の液状化ハザードマップの作成方法が記載されています。
- 1.液状化の検討地域
- 2.検討に用いたボーリングデータ
- 3.地下水位の設定
- 4.液状化予測で想定した地震の揺れの強さ
- 5.液状化予測図作成の流れ
- 6.ボーリングデータによる液状化判定
- 7.地図情報による液状化判定
- 8.液状化の可能性の総合判定
- 9.液状化予測図の表示方法
- 10.平成24年度改訂版からの変更点
結構ボリュームがあり、読み込むのが大変なので、内容をまとめると、
東経139度15分以東の範囲のある地点について、
7万千本のボーリング調査結果を使った液状判定と、
地図情報を使った液状化判定の2つの方法でそれぞれ液状化の可能性を判定し、
決めたルールに沿って、機械的にその地点の液状化判定を行っているということです。
東京都が上記をわかりやすいフロー図にしてくれています。
(引用:東京都建設局HP)
液状化ハザードマップの理解しておきたいポイント
上記の流れでの作成の中で、理解しておきたいポイントは
ミクロの目線では、ボーリング調査分布に偏りがあり、地図情報による液状化判定のみを行っている場合もある
ということです。
東京都は、下の図の範囲の液状化可能性の判定について、約7万6千本のボーリング調査結果を用いているそうです。
この数は多いのか?少ないのか?数字だけを見てもわかりませんので、地図上で確認しています。
おぉーかなり網羅的にボーリング調査できているように見えますね!
凄いぞ東京都!!
因みに、東京都の液状化ハザードマップは右上のコマンドで地図上に
ボーリング調査によるPL値評価を地図上にプロットできます。
7万6千本全てのボーリング調査ではないそうですが、相当数の結果が見れるので活用しましょう。
次にもう少しクローズアップしてみましょう。
集中具合は各所で異なるものの、クローズアップしても、まぁまぁ網羅的に地盤調査されているように見えますね。
では、敢えて、集中度具合を比較してます。
上の図を見ると、青枠の中には、ボーリング調査は赤枠内と比べると少ないことがわかります。
東京都は全てのボーリング調査を表示しているわけではないのですが、差があることは明らかです。
上のフロー図の通り、ボーリング調査が行われていない場合は、地図情報のみで判断しています。
地図情報による評価の精度が悪いということはありませんが、
2つの指標で判断することと、1つの指標のみで判断することに、差があるのは事実でしょう。
つまり、
ミクロな目線で見ると、土地ごとに液状化判定の精度には差があるということがわかります。
液状化ハザードマップの見方
さて、ミクロな視点では、液状化判定の精度に差があることはわかりました。
あなたが液状化ハザードマップを見るときの多くは、
街全体のような広いマクロな視点ではなく、ご自身の計画地というミクロな視点でしょう。
では、自分の土地という、非常にミクロな目線で計画を考える場合、
どのように液状化ハザードマップを見ればよいのでしょうか。
結論は、「液状化ハザードマップの色塗りを盲信しない」ということでしょう。
液状化ハザードマップの色塗りは、今ある情報から250mメッシュの範囲について
上のフロー図の通り、機械的に決まるものです。
しかし、土地は連続しているので、
・付近のボーリング調査の結果
・液状化しやすい地盤とはどんなものかの理解
を自ら考えて、判断するのが良いでしょう。
例えば、下図の赤枠内は、液状化ハザードマップの色塗りとしては「液状化の可能性は低いです。」
しかし、周囲の地盤調査結果の多くは、PL値で液状化危険度が大きい結果が出ています。
この場合、液状化ハザードマップの色塗りを100%信用するべきではないでしょう。
上記の場所を計画地とする場合、初期段階では、PL値の値が悪い結果が出ることを想定し、
基礎や建物に必要となるコストを考えた方がよいです。
まとめ
- 液状化ハザードマップは、作られ方が都道府県・市町村ごとに少しずつ違うので、前提条件の確認が必要
- 東京都の場合、液状化ハザードマップは2通りの調査を基に、フローに沿って機械的に作成されている
- ミクロな視点で見る場合、液状化ハザードマップの色塗りの盲信はしない
- 周囲のボーリング調査結果を基に自分の視点でも判断する
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