ル・コルビジェが設計し、世界文化遺産に登録された国立西洋美術館をはじめ、様々な文化的な施設に触れることができる上野エリア。
その一角に、「国際子ども図書館」という建築好きの子育て世代が是非とも訪れたい穴場的スポットがあるのをご存じですか?
今回は、ペンギン目線で、子育て世代が「国際子ども図書館」を訪れるべき3つの理由をお伝えします!
理由1:子供も大人も楽しめる建築空間
建築好き子育て世代が「国際子ども図書館」を訪れるべき最初の理由は、その魅力的な建築空間です。
お子さんの良い読書体験のために考えられた空間だけでなく、建物そのものが、歴史を重ね、高度な建築技術により改修された美しい外観・内観を兼ね備えており、大人もその魅力に引き込まれます。
建物は、2棟構成になっており、道路側から見えるのがレンガ棟と言われるルネサンス様式の外観の建物です。
そして、中庭を挟んで緩くつながっているのが、全面ガラス張りで弓状の形をしたアーチ棟です。
レンガ棟は、1906年に建てられた帝国図書館の建物を保存・再利用しており、アーチ棟は、安藤忠雄氏による設計で2015年に新設されています。
魅力的な読書体験空間
この施設は、子供たちの読書空間として、色々な工夫がされています。
子供たちは、主としてレンガ棟1階の「子供のへや」と「世界を知る部屋」で過ごします。
どちらも正面入り口から近く、子供たちがアクセスしやすい配置になっています。
「子供のへや」は、中央に円卓があり、それを囲うように本棚が配置されています。また、それ以外の場所にもベンチが点在して置いてあり、子供たちは部屋のどこにいても本が読める空間になっています。
また、それに合わせて天井面は全面白い光天井になっており、どの場所でも読書する際に影ができないように工夫されています。
約10,000冊の児童書が備えられているそうですが、部屋の隅にタッチパネル式の検索用PCがあり、ひらがなが読める子であれば本を検索することができるようになっています。
その他、一緒に来た大人として嬉しいのは、円卓に大人が座った状態でも、本棚の裏側が見えるように工夫された鏡が随所にあり、子供たちが読み終えた本を戻したり、新しい本を持ってくるときに、大人が付き添わなくとも安心できるつくりになっています。
また、毎週土曜日の14:10と15:10から、20分程度の「子供のためのおはなし会」が開催されます。
内容は、手遊び歌遊び+絵本の読み聞かせ2冊分といった感じ。
子供たちは大人とは少し離れて、優しい職員さんと一緒に過ごします。
大人にアクションを求められないので、少しの間後ろの方でウトウトしていてもOK。
大人的には少し休憩ができて大助かりなナイスなイベントです。
公式HPより引用
歴史的背景
国際子ども図書館の建物は、もともと1906年に建設された帝国図書館として使用されていました。
下図が当初設計図です。
ジョサイア・コンドルに師事していた文部省技官、久留正道、真水英夫らにより、「東洋一の図書館」を目指して設計されました。
建設は3期に分けて行う予定で、第一期工事は1906年3月に竣工し、全体計画の4分の1の大きさで開館しました。
1929年に増築工事が行われましたが、予算の都合上、当初計画の約1/3の姿に留まったままとなり、戦後、1949年には国立国会図書館に統合され、支部上野図書館として利用されてきました。
2000年に国立児童書専門図書館として再開館し、以来、多岐にわたるサービスを提供しています。
耐震改修の究極形_免震レトロフィット
図書館改修時には、歴史的建造物の保存と現代的な施設への再生が目指され、国内初の組積造免震レトロフィット工法が施工されました。
免震レトロフィットとは、既存建物の耐震改修方法の一つです。
もともとは免震構造ではない建物の下部に後から免震装置を取り付けて、建物を免震化してしまう耐震改修の究極形といえるでしょう。
当然、設計・施工・コストともにハードルが高く、これまで実績は少なかったですが、近年は歴史的建造物の保存を目的として採用数が増えてきています。
日本初の免震レトロフィットは、1998年に改修された、同じく上野にある「国立西洋美術館」です。
比較的最近の事例では、九段会館のレトロフィットなどがあります。
国立子ども図書館では、免震レトロフィットを採用することで建物に作用する地震力を低減し、内装はすべて創建時のものに復元されました 。
ペンギンのスーパーマニアックチェックポイントは、
免震レトロフィットにより、免震化されたので当然建物周辺にExp.Jやクリアランスが出てきます。
作り手側的には、意外と「こうしておけばよかったー」とか「上手くいったー」と分かれるポイントなので、その点を見ると面白いものです。
下写真は段差の上側が免震建物側・下側が地球側で、階段部分は地球側で、その周りにある銀色の床プレート部分のExp.J金物が地震時には、跳ね上がりながら地球側に乗っかるイメージだと思います。
つまり、地震時に段差下側に人がいる場合は、建物の犬走部分がぶつかってくる可能性もあるわけですが、ここでは特段立ち入り禁止措置はしていないようです。
ペンギンも被害リスクの可能性を考えると立入禁止措置は不要と思いますが、人によっては意見側分かれるかもしれませんね。
突出部が出てしまったので、あとから黄色いコーナーガードを付けている部分は、意匠設計者的にも形状配慮したかったポイント化かもしれません。
また、ペンギンが気になるのは、Exp.J金物部分にチェーンをつないでいる金属支柱が立っていますが、果たしてExp.J金物は問題なく稼働するのか?というところでしょうか。
(あんまりやりたくないぁー。チェーン意味なさそうだし)
下の写真は、Exp.J金物とスロープの部分です。
建物と手摺の間にあるコンクリートブロック部分がちょうど免震クリアランス長さを表現していると思います。
免震の場合は外構に工夫が見れて面白いですね。(気持ち悪い見方。。笑)
理由2:兄弟でも行きやすい!充実のあかちゃんケア
上記以外での、こちらの施設でのペンギンの推しポイントをいくつか挙げたいと思います。
広い屋内休憩・飲食スペースと、授乳・おむつ替えエリア
レンガ棟1階の「休憩・飲食・授乳スペース」は、誰でも利用可能で飲食OK。
持参したお弁当などを食べることもできます。
駅から距離があるためか、比較的空いており、夏場や冬場等、外で過ごすの厳しいときに活用できます。
さらに、赤ちゃんを解き放てるスペースがあるうえに、授乳室やおむつ替えエリアも完備。
授乳室には調乳専用の浄水給湯器が完備されています。(さすが国立)
兄弟できても、上の子は絵本、下の子はキッズスペースでゴロゴロできて最高です。
Let‘s Enjoy Tokyo HP 引用
理由3:安藤忠雄もびっくり!?リーズナブルなカフェテリア
次におすすめなのは、レンガ棟1階の「カフェテリア」です。
建築的にはエントランスからの連続性を感じさせるガラスボックスの中にある素敵空間なのですが、
カフェテリア運営自体は、食券購入⇒おばちゃんに渡す⇒番号札渡される⇒大声で番号呼ばれる
といったレトロ運用。
メニューも親しみやすく、且つリーズナブル。上野の観光地価格でなく、非常に良心的。
Let‘s Enjoy Tokyo HP 引用
少量ですが、カフェテリアにも絵本が置いてあり、子供も退屈せずに待っていられます。
また、カフェテリアから直接レンガ棟とアーチ棟の間にある中庭に出ることができ、中間期は中庭で食事をとることもできて、非常に心地よい空間です。
Let‘s Enjoy Tokyo HP 引用
大衆向けすぎて、設計した安藤忠雄氏もびっくりなのでは?と思いますが、皆快適に過ごしている様子をみてきっと見たら喜ぶのではとも思います。
個人的には什器を変えたらもっと雰囲気いいのでは?とも思うのですが、椅子は軽くて子供も利用しやすい仕様です。
基本情報
国立国会図書館 国際子ども図書館
住所:東京都台東区上野公園 12-49
開館時間:9 時 30 分~17 時
休館日:月曜日、国民の祝日・休日(5月5日のこどもの日は開館)
年末年始、第3水曜日(資料整理休館日)
毎週火曜日・木曜日14時から館内をご案内するガイドツアーも開催(要事前予約)。
公式HP:https://www.kodomo.go.jp/index.html
公式HPではVRでも見学可能も可能!
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