構造設計における一次設計は、日常の外力、稀に生じる外力に対して、構造部材が損傷を生じないことを目的に行うもので、構造計算ルート上でどの建物でも必ず行われるものです。まずは下記3つを覚えておきましょう。
①許容応力度計算 設定した荷重が建物に作用した際に、建物の各部材で生じる応力が、部材に使われている材料が許容できる応力を超えていないことを確認します。一般的に構造計算といわれたときにイメージする内容かと思います。ここで、少しわかりづらいのは「応力」ではなく、「応力度」であることです。応力度は、応力を部材の断面積で割り算して算出した「単位面積当たりの応力」です。なぜ、そうするのかというと、応力は応力度×部材断面積で算出するわけですが、部材断面積は様々あるので、様々な数値が出てきます。一方で、応力度の場合は、例えば、鉄筋SD295Aの長期応力度は196[N/mm²]であるので、その1つの数値と比較をすればいいので合理的です。
②建築物の使用上の支障が起こらないことを確認する 構造で大切なのは強度と変形です。ここではその変形について確認します。強度的に問題がなくても、部材がスレンダー過ぎて、変形や振動が大きくなり、使用時に不快に思ったり、支障がある場合もあります。そこで、その点について問題ないかを確認します。ここで、試験で問われるものに、
変形増大係数があります。変形増大係数は、クリープ変形と言われるものを考慮するための割増係数です。クリープとは、長期的に一定の荷重が作用するときに、時間が進むに連れて徐々に部材の変形が進行する現象です。
③屋根葺き材等の構造計算 屋根葺き材、外装材及び屋外に面する帳壁(窓ガラスを含む)については、風圧に対して外装材や緊結部分等に生じる応力が許容応力度を超えないことを確認しなくてはいけません。試験で良く問われるのは、屋根葺き材と帳壁における、上記の適用範囲です。屋外に面する帳壁については、高さが13m以下の部分は計算を行わなくて良いですが、屋根葺き材については、高さに関係なく全てが検討の対象になります。
また、試験で問われる項目としては、外装材に用いる風圧力に用いる風力係数があります。外装材の計算に用いられる、風力係数は構造体の風力係数とは別のもので、「ピーク風圧係数」と言われます。一般的に、構造体に用いる風力係数よりも、ピーク風圧係数の方が大きいです。これは、局所的な風圧の強さを考慮するためです。特に、屋根面の周囲部分や、コーナー部分の壁などは「ピーク風力係数が大きくなります。」隅っこや先端は風が強いと覚えておくと良いでしょう。
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