一級建築士試験で、重要な科目である「構造」。
「構造」に対して、専門外の場合は苦手意識を持つ方が多いと思います。
ただ、総得点の約25%の占めるこの科目で点数が取れないと合格は難しいです。
今回は、一級建築士の構造分野について、構造を専門とするペンギンが
・「結局のところ構造はココをおさえておけば、色々と理解がしやすいよ」というコツを紹介します。
構造計算についてどう考えるか?
苦手意識のひとつの原因は「構造計算」でしょう。
この構造計算については、別でも書きましたが、最初に勉強して嫌いになってしまうなら後回しにしても良いと思います。
せいぜい出題数も5問くらいですし、テクニックで選択肢を絞る術もあるので、構造屋さんでもない人が完璧に理解する必要はないでしょう。
なので、最初は構造特有の用語を「覚える」「イメージする」ということから始めるのが良いでしょう。
実務でも、構造屋さんが難しい用語で色々と説明してくれたけど、殆ど意味がわかなかったという経験は誰しもあると思います。(ほんとに同じ建築屋かよと。。)
そうです!我々が構造がわからないのは、用語がわからないからなのです。
英語勉強するのにも最低限の単語を知らないといけないのと同じです。用語が分かれば実は難しいことは少ないのです。
用語を覚える際に心がける点は、その用語が何かの数値である場合には、その数値が大小どちらが建物をより安全に設計していることになるのかを理解することです。
構造の問題でひっかけ的に問われるのは殆どの場合がこの手の問題です。
例えば、「降伏比」は大きい方良いか?小さい方が良いか?というような問題です。
最初に知っておこう「剛性」と「靭性」
次に、イメージをするうえで、構造屋さんでない人が最初に意識すべきものは、「剛性」と「靭性」です。
誰でも「強度」が高い方が良いことは何となく知っています。
そこで、更に「剛性」や「靭性」とは何か?というところを理解すると、勉強していく上でのイメージがしやすくなります。
「剛性」は「弾性体が歪みにくい性質」を指します。
太くて、ずんぐりむっくりしたものは、曲げたり、ねじったりするのが難しいのは経験的に知っていると思います。
例えば、長い鉛筆はなんとなく曲げられそうなのに、短くなってしまった鉛筆は難しいですよね。
まるで固くなったかのような感覚です。
構造屋さんが「固い」といった時には、「強度が高い」ではなく、「剛性が大きい」ことを指すことが多いでしょう。
また、剛性が大きいと、力がたくさん集まるということも理解しておきましょう。
例えば、あなたが太っちょな友達とガリガリな友達の3人で電車に乗っていたとしましょう。
電車が急ブレーキをかけて、あなたは体勢を崩してしまいます。
さて、どちらの友達に寄りかかるのが安心感がありますか?(汗とか匂いとか悲しいことを言うのはなしで。)
多分、太っちょ君ですよね。
力も同じように負担が多くできる方へと流れていきますので、剛性が大きい方が力の負担が大きくなるのです。
因みに、上の例えは、正確に事象を説明しているわけではないですが、イメージするうえで分かりやすいかと思いますので、このような形で頭に残しておいて貰えればよいかと思います。
「靭性」は「粘り強さ」を表します。力を受けた物質が降伏点に到達した後、その降伏点での力を維持したまま変形できる度合を示します。
よく構造屋さんが「やわらかい」とか「しなやか」などと表現するのがこの性質です。
「やわらかい」から弱いというわけではないのです。
材料としては、鉄などが靭性に優れています。
また、形状としてはスレンダーなものが靭性が高くなります。
力を維持したまま変形が進み、崩壊に至るので、壊れ方としては理想的です。
構造は用語が難しく、覚えるのが大変ですが、基本的には物理現象なので、上記の「剛性」とか「靭性」などの特徴・イメージを捉えて、考えると理解が進み、暗記もしやすいでしょう。
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